医療費控除の手続きが平成29年分の確定申告から変わります!
初めて医療費控除を確定申告される方だけでなく、いつも医療費控除を確定申告される方も今回の変更内容は要注意ですよ~!
大きく変わった点は、2つです。
・医療費の領収書ではなく「医療費控除の明細書」を提出することになった!
・「セルフメディケーション税制」のスタート!
これまで、医療費の領収書を束にして申告書に添付し提出していましたが、平成29年分の申告から「医療費控除の明細書」を提出します。
よって、領収書の提出は不要になります。
さらに、平成29年1月にスタートした「セルフメディケーション税制」と従来の「医療費控除」のどちらを選択することになります。
今年の医療費控除はいつもより考えることが少しだけ多くなりそうですね。
領収書をまとめて整理する年末に向け、変更点や間違いやすいポイントを確認しておきましょう。
医療費控除の明細書!記入例からみた領収書提出不要による3つのポイント!
医療費控除の手続きが平成29年分の確定申告から変わります!
これまで、医療費の領収書を束にして申告書に添付し提出していましたが、平成29年分の申告から「医療費控除の明細書」を提出します。
よって、領収書の提出は不要になります。
今回の医療費控除の変更のポイントは、3つあります。
1.領収書の提出不要!本当に医療費控除の申告は楽になった?
2.「医療費控除の明細書」は、今までより記入の量が少なくてすむ?!
3.提出不要になった医療費の領収書は捨ててはダメ?!
今から、医療費控除の明細書の記入例とともに、説明していきますね!
領収書の提出不要!本当に医療費控除の申告は楽になった?
平成29年分の確定申告から、医療費の領収書が提出不要になりました!
パチパチパチ!
代わりに「医療費控除の明細書」が必須になりました。
えっ?!
国税庁は、今年から変わる医療費控除の手続きについて、説明文を記載したリーフレットをHPに掲載しました。
今まで、医療費控除の申告といえば、医療費の領収書を束にしてクリアファイルや封筒などに詰め込み、確定申告書と一緒に税務署のカウンターに提出するというのが当たり前でしたね。
これからは、医療費の領収書のかわりに「医療費控除の明細書」を記入して提出することになります。
平成29年分からの「医療費控除の明細書」はこちらになります。
「医療費控除の明細書」のPDFがありますのでご活用ください。
※確定申告の時期(例年1月15日~3月15日)になると、国税庁HPで確定申告特集コーナーが更新され、紙に記入しなくてもパソコンで入力して印刷できるようになります(予定)。
といっても、もちろん好きなように医療費の額を申告できるというわけではありません。
「医療費控除の明細書」に1年間かかった医療費の金額や内容を細かく記入し、それをもって領収書提出の代わりとみなされることになるんです。
「医療費控除の明細書」には大きく分けて5つ記入する箇所があります。
①医療を受けた人の氏名
②病院・薬局などの支払先の名称
③医療費の区分
④支払った医療費の額
⑤④のうち生命保険や社会保険などで補填される金額
③についてはさらに「診療・治療」、「医薬品の購入」、「介護保険サービス」、通院費など「その他の医療費」の4つの区分のどれかを選んでチェックを入れます。
平成29年分からの「医療費控除の明細書」の記入例を見てみましょう!
え?面倒くさくなってない?
いえいえ、今までも「医療費の明細書」というものを書いて、医療費の領収書の束と一緒に提出していたので、負担はあまり変わりません。
今までの医療費控除で提出していた「医療費の明細書」はこちらになります。
一見、平成29年分から新しくなった「医療費控除の明細書」と変わらないですよね?
平成28年分までの「医療費の明細書」も大きく分けて5つ記入する箇所がありました。
①医療を受けた人の氏名
②続柄
③病院・薬局などの所在地・名称
④控除の対象となる医療費の内訳(治療内容・医療品名など、支払った医療費)
⑤④のうち生命保険や社会保険などで補填される金額
それでは、医療費の領収書を提出しなくてよくなっただけで、今までとあまり負担が変わらないってこと?
実は、今回の医療費控除の変更の大きいポイントは、今まで、医療費の支払いについて全部記入しなければならなかったのが、平成29年分から記入する量が減るということにあります。
「医療費控除の明細書」は、今までより記入の量が少なくてすむ?!
「医療費控除の明細書」は、医療費の領収書をすべて書かなくてもよくなりました。
ん??
一体、どういうことでしょう?
実は、医療費の領収書の代わりに、健康保険組合などから送られてくる「医療費のお知らせ」を添付し、その「医療費のお知らせ」をもとに医療費の総額や実際に負担した額を記入すれば、医療費の領収書の内容をすべて記入する手間が省けるんです!
これは、楽になりますね~♪
健康保険組合などから送られてくる「医療費のお知らせ」を取っておかねば!!

医療費のお知らせ(全国健康保険協会HPより)
ただし、「医療費のお知らせ」に含まれていないけど、医療費控除対象となる費用もあるため、最終的に領収書と付き合わせは必要になります。
「医療費のお知らせ」に含まれない医療費控除の対象になる費用の例
・健康保険が使えない医療費(鍼治療など病気を治すための治療)
・ドラッグストアなどで購入した薬代(風邪薬など病気を治すための薬)
・病院への交通費(バス代、JR代など)
・「医療費のおしらせ」にまだ載ってこない医療費
また、健康保険組合や健康保険協会などによって、「医療費のお知らせ」の通知の時期や回数が違うため、自分が加入している健康保険組合などの「医療費のお知らせ」がちゃんとそろっているか、内容もモレがないかを確認する必要もありますね。
「医療費のお知らせ」を「医療費控除の明細書」に記入してみましょう!
「医療費のお知らせ」と領収書の突き合わせは面倒ですが、今まで全部記入していた手間はかなり減ったと言ってもいいのかもしれません。
提出不要になった医療費の領収書は捨ててはダメ?!
医療費控除の確定申告に必要な「医療費控除の明細書」の記入も終わったし、医療費の領収書は提出不要だから捨ててもいいよね?
ちょっと待ってください!
これまで束にして提出していた医療費の領収書は、「医療費控除の明細書」に記入さえしてしまえば、医療費の領収書は捨ててもいいかというとそうではないんです。
新たな医療費控除制度では、領収書の提出が不要となった代わりに、自宅での5年間の保存が義務付けられることとなりました。
えー!!
今まで医療費の領収書の束は、税務署に提出して終わりだったのに、自宅で5年間も取っておかなくてはならないの?!
そうなんです。
後日、医療費の領収書を税務署に求められることがあれば、提示せねばなりません。
もし紛失していれば、医療費を支払ったこと自体がなかったとされる可能性もあります。
せっかく医療費控除の確定申告で節税できたのに、それが認められず修正申告で納税が発生するかもしれません。
正直なところ、過去の医療費の領収書を税務署に求められることが、そうあるとは思えません。
しかし、医療費を支払ったことを証明する書類である以上、万が一の時のことを考えて医療費の領収書は保管しておくべきでしょう。
これまで1年分をまとめて申告時に提出してしまえば終わりでしたが、今後はその5倍を常に保管していなければならないわけなのです。
医療費控除の手続きが変わったのは税務署の都合?!
今回の改正の背景には、税務署側の事情があるともいわれます。
毎年の申告で提出される大量の医療費の領収書は、単純に場所を取ります。
さらに、大量の医療費の領収書の保管に係る人的コストもゼロではありません。
以前、ある研修に参加したとき、医療費控除で提出された領収書の保管場所の話をきいたことがあります。
医療費の領収書の保管場所は、かなり匂うそうです。
医療費の領収書の集計をするときに、うっかりしてしまう行動が原因のひとつです。
・医療費の領収書を一枚一枚唾液をつけてめくってしまう
・ポテチなど油の付いた手で医療費の領収書をさわってしまう
・コーヒーなどの飲み物をこぼしてしまう
確かに、それが何年分も保管されていると聞くと、税務署の方もお気の毒に思います。
税務署のこうした負担をなくし、納税者それぞれの自宅を倉庫として使うという理由が、今回の改正にありそうですね。
「セルフメディケーション税制」との選択はどうしたらいい?
医療費控除を利用する上でもう一つ考えなければならないのが、今年1月にスタートした「セルフメディケーション税制」との選択です。
セルフメディケーション税制とは、ドラッグストアなどで買える一部の市販薬の購入代金の合計額が12,000円超えると、その超えた金額を所得から差し引くことができるという医療費控除の特例となる制度です。
セルフメディケーション税制は、医療費控除との併用ができません。
☑ 病院に多くかかるのなら、医療費控除
☑ 市販薬で済ませることが多いなら、セルフメディケーション税制
というように、どちらかを選択して利用するのが基本的な考えとなります。
ただし、全ての市販薬が控除対象でないことやセルフメディケーション税制には10万円上限があることなど注意点も多いので、どちらが得かは条件次第です。
【簡易的な判別の方法】
①薬代を含めた医療費全体が、188,000円を超えるなら医療費控除が有利
②医療費全体が188,000円以下であれば「セルフメディケーション税制の対象となる部分を除いた医療費」に着目!
88,000円 ≧ セルフメディケーション税制の対象となる部分を除いた医療費
→概ね、セルフメディケーション税制の方が得!
88,000円 < セルフメディケーション税制の対象となる部分を除いた医療費
→医療費控除の方が有利!
③医療費全体が10万円を超えないのであれば、そもそも医療費控除の適用対象外なのでセルフメディケーション税制の控除の一択となります。
注:10万円を超えない場合でも所得によって医療費控除がみれる場合があります。
セルフメディケーション税制で申告する人も医療費控除と同様、領収書の添付は不要です。
専用のセルフメディケーション税制の明細書に、支払先や医療費の名称金額などを記入して領収書に変えるだけでOK!
平成29年分からの「セルフメディケーション税制の明細書」はこちらになります。
【様式】セルフメディケーション税制の明細書(PDF) 国税庁HPより
「セルフメディケーション税制の明細書」のPDFがありますのでご活用ください。
※確定申告の時期(例年1月15日~3月15日)になると、国税庁HPで確定申告特集コーナーが更新され、紙に記入しなくてもパソコンで入力して印刷できるようになります(予定)。
ただし、これもまた医療費控除と同様、領収書の5年間の保存が義務付けられています。
また、セルフメディケーション税制を利用するためには、インフルエンザの予防接種など健康増進のための一定の取り組みが必要であること必要であるので、「セルフメディケーション税制」について今のうちからおさらいしておくことが必要ですよ。
>>セルフメディケーション税制とは?知識ゼロからでもわかる完全マニュアル
まとめ
医療費控除の手続きが平成29年分の確定申告から変わります!
大きく変わった点は、2つ
・医療費の領収書ではなく「医療費控除の明細書」を提出することになった!
・「セルフメディケーション税制」のスタート!
これまで、医療費の領収書を束にして申告書に添付し提出していましたが、平成29年分の申告から「医療費控除の明細書」を提出します。
よって領収書の提出は不要になります。
今回の医療費控除の変更のポイントは、3つあります。
1.領収書の提出不要!本当に医療費控除の申告は楽になった?
→「医療費の明細書」が「医療費控除の明細書」に変わっただけかも。
2.「医療費控除の明細書」は、今までより記入の量が少なくてすむ?!
→記入する量は減ったけど、「医療費のお知らせ」と医療費の明細書などの突き合わせの手間が必要になったかも!
3.提出不要になった医療費の領収書は捨ててはダメ?!
→今まで医療費の領収書の束は、税務署に提出して終わりだったのに、自宅で5年間も取っておかなくてならない!
さらに、平成29年1月にスタートした「セルフメディケーション税制」と従来の「医療費控除」のどちらを選択することになります。
年末に向けていよいよ健康保険組合や保険会社などから確定申告に必要な書類が次々と手元に送られてくる時期となりましたね。
土壇場になって焦らないように、今から医療費控除とセルフメディケーション税制の選択を含めて準備し、受けられる税制優遇は全て受けるようにしましょう!
2017年(2018年申告)から始まるセルフメディケーション税制についての記事もどうぞ
>>医療費控除の計算!還付金が増えるポイントと3つの判断基準!
>>セルフメディケーション税制は人間ドック等の一定の取組が必要!
>>スイッチOTC医薬品は商品名で選んではダメ!決め手は成分の有無
>>セルフメディケーション税制で確定申告!所得で異なる節税効果
>>スイッチOTC医薬品で医療費控除も可能?控除額の選択方法
>>セルフメディケーション税制と医療費控除!併用ダメなら分けるのは?
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>>セルフメディケーション税制とは?知識ゼロからでもわかる完全マニュアル
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