売上金額が5万円の場合、領収書に200円の印紙を貼ります。
その5万円の判断って税込でしょうか?
それとも、税抜でしょうか?
実は「消費税の特例措置」という税抜金額を記載金額として印紙が必要かどうかを判定する制度があります。
この記事では、印紙の税金負担の有無が分かれる領収書の消費税等の書き方についてお伝えします。
領収書の消費税等の書き方ひとつで、印紙の税金負担の有無が決まるんです。
領収書に印紙が必要かどうかの4つの書き方
領収書の売上代金が、5万円以上になったら「印紙」が必要になります。
売上代金が、54,000円だったら迷わず「200円の印紙」を貼ります。
しかし、売上代金が、51,840円だったら?
税抜金額は、48,000円 消費税等の額は3,840円(8%)です。
消費税等は、商品を買った私達からお店が預かり国と地方に納めます。
だから、消費税等は売上ではありません。
また「印紙」は「印紙税」という税金です。
売上代金ではない消費税等を含めた金額で、印紙が必要かどうかが決まるなんておかしくないのかな?とずっと思っていました。
調べてみたところ、税抜価格の売上金額で印紙の有無を判断する方法があったのです。
それは、「消費税の特例措置」という税抜金額を記載金額として印紙が必要かどうかを判定する制度です!
ポイントは、領収書の書き方!!
売上代金が下記の条件で4つの領収書の書き方から印紙が必要かどうかの判定をしてみましょう。
【売上代金の条件】
税抜金額 48,000円
消費税等の額 3,840円
税込金額 51,840円
例1:消費税等の額が書いていない
判定1:消費税等の額が書いていないため、記載金額は51,840円と判断し、200円の印紙が必要。
印紙は、このままでOKです!
例2:税込金額、税抜金額、消費税等の額が書いてある
判定2:税込金額、税抜金額、消費税等の額が書いてあるため、記載金額は税抜本体価額48,000円と判断し、印紙は必要なし(非課税)。
印紙は必要ありませんので、貼るのはもったいないですよ~!!
例3:消費税等の額をはっきり書いていない
判定3:消費税等の額が具体的にされていないため、記載金額である51,840円と判断し、200円の印紙が必要。
印紙は、このままでOKです!
例4:税込金額、消費税等の額だけ書いてある
判定4:税抜本体価額は記載されていないが、消費税等の額が具体的に記載されているため、51,840円ー3,840円=48,000円で判断し、印紙は必要なし(非課税)。
印紙は必要ありませんので、貼るのはもったいないですよ~!!
税抜金額で印紙なしの特例措置は誰もができるわけではない!
印紙を貼らなくても済む領収書の書き方があるなら、はやく知りたかった~!!
確かに、そんな制度があるなら早く知りたいですよね~
ただし、「消費税の特例措置」という税抜金額を記載金額として印紙が必要かどうかを判定する制度は、誰でもできるわけではありません。
3つの要件が必要なのです。
(イ)第1号文書(不動産の譲渡等の契約書等)
(ロ)第2号文書(請負契約書等)
(ハ)第17号文書(金銭等の受取書)
②以下のいずれかに該当すること
(イ)消費税額等が具体的に記載されていること
(ロ)消費税額等を含む金額と消費税額等を含まない金額の両方を具体的に記載し、消費税額等が容易に計算できること
③課税文書の作成が課税事業者であること
ここで、「消費税額等」というように「等」が付くのは、消費税等には国税と地方税があるからです。
「消費税等」=「消費税」+「地方消費税」
それでは、売上代金の領収書にに関して、3つの要件が当てはまるかどうか説明します!
【消費税の特例措置の要件①】特例措置を受けられる文書であること
売上代金の領収書は、(ハ)第17号文書(金銭等の受取書)に該当します。
よって、条件①は当てはまります!
【消費税の特例措置の要件②】以下のいずれかに該当すること
(イ)消費税額等が具体的に記載されていること
(ロ)消費税額等を含む金額と消費税額等を含まない金額の両方を具体的に記載し、消費税額等が容易に計算できること
これは、売上代金の領収書の書き方の例2と例4が当てはまりますね!
【消費税の特例措置の要件③】課税文書の作成が課税事業者であること
ここです!
問題なのは!!
課税事業者って何?ですよね~
はじめにこう書きました。
消費税は、商品を買った私達からお店が預かり国と地方に納めます。
だから、消費税は売上ではないんです。
実は、消費税等を納めるお店と納めなくてもいい事業者があります。
- 課税事業者=消費税等を納める又は納めなくてはならない事業者
- 免税事業者=消費税等を納めなくてもいい事業者
免税事業者とは、簡単にいうと、2年前の年間の課税売上高が1,000万円未満の事業者のことです。
ただし、免税事業者は、自分から課税事業者になりたいということもできますし、2年前の売上高が1,000万円未満でも今年のお店の運営状態で消費税等を納める必要がある場合がありますので、この判断は、税務署や税理士に確認してくださいね。
免税事業者である消費税等を納めなくてもいいお店は、商品を買った私達から預かった消費税等をそのままもらいます。
要するに、「売上代金」=「税抜本体価額」+「消費税等の額」なのです。
よって、免税事業者は消費税もお店の売上になるので「消費税の特例措置」が使えないのです。
自分の勤めているお店が、課税事業者か免税事業者かなんてわかりません。
領収書の消費税の書き方を例2や例4のように書いてしまっていて、税務調査で「あなたのお店は免税事業者だから印紙が要りますよ」と言われたら、印紙の過怠税として貼っていなかった印紙の額の3倍の金額をお店は国に納めなくてはなりません。
印紙を貼るか貼らないかの判断は自分でしなくてはならないので、税抜金額を記載金額として印紙が必要かどうかを判定する制度が使えるかどうかは、上司に確認が必要ですね!
まとめ
「印紙」は「印紙税」という税金です。
実は、領収書の消費税の書き方ひとつで、印紙の税金負担の有無が決まります。
印紙は必要ないに越したことはないですよね!
印紙が要らなくてもいい判断は、下記の3つの要件にあてはまる必要があります。
①特例措置を受けられる文書であること
→売上代金の領収書は、当てはまります! ②以下のいずれかに該当すること
(イ)消費税額等が具体的に記載されていること
(ロ)消費税額等を含む金額と消費税額等を含まない金額の両方を具体的に記載し、消費税額等が容易に計算できること
→売上代金の領収書の書き方の例2と例4が当てはまります! ③課税文書(領収書など)の作成が課税事業者であること
→上司に確認しないとわかりません!!
意外に簡単にできると思っていた領収書の印紙が必要かどうかが決まる消費税の書き方は、自分が勤めるお店が、消費税の「課税事業者」か「免税事業者」かどうかがわからないと使えないんですね。
これは、会社から従業員に領収書の印紙の取り扱いを伝えてもらいたいですね。
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