簿記1級は就職や転職に有利か?
簿記1級を持っていないよりはあったほうがアピールポイントになりそうですが、実はあまり有利に働くことはありません。
本記事では、簿記1級だけでは就職できない理由と私が簿記1級の勉強をやめた理由を紹介します。
これから簿記1級を勉強して就職に役立てたいと考えている人の参考になれば幸いです。
簿記1級だけでは就職できない理由とは?
簿記1級だけでは就職できない理由とはなんでしょうか?
ぶっちゃけ、簿記1級がなくても就職ができます。
ハローワークで就職活動していたとき、募集要件に「簿記3級」「簿記2級」「税理士試験の2科目以上取得」などは書いてありましたが、「簿記1級」という募集要件はみたことがありません。しかも資格より「経験者優遇」を募集要件にしている企業がダントツ多いのです。
当時簿記2級を持っていましたが、未経験というだけで、面接すらたどり着けないというのが現実でした。
それは、税理士事務所だけでなく、他業種の経理でも似たような状況でした。
つまり、「簿記1級」を持っていても「未経験者」であるなら、簿記3級や2級とそんなに違いはないということになります。
簿記1級で就職できないならどうしたらいい?
簿記1級で就職できないというか、資格だけでは面接で有利になりません。
簿記1級でも就職に有利にするには、方法は2つ。
一つは、未経験者OKのところを探して経験を積んでからステップアップするために転職することです。
経理関係で未経験者OKなところは少ないので就職活動は大変ですが、まれに「他で変なクセがついていない未経験者がいい」という企業もありますので、根気よく探してください。
もう一つは、税理士事務所への転職狙いで、簿記1級を持っているのは税理士をめざしているからだと伝えることです。
税理士事務所は税理士が1人以上いる必要があります。
どの企業も後継者問題で悩むように、税理士事務所も税理士の後継者を求めています。
将来を見据えて、税理士をめざしている人を優先して採用することもあるので、簿記1級で満足せずに税理士まで目指しましょう。
私が簿記1級の勉強をやめた5つの理由
私は、簿記3級、2級を取得した後、就職活動をしながら、簿記1級を目指していました。
税理士事務所に転職し、数か月後に簿記1級の勉強をやめています。
ここでは、簿記1級の勉強をやめた5つの理由を紹介します。
①試験範囲が広いから
簿記1級の試験範囲は、簿記3級、2級よりも広くなっています。
【試験科目・合格基準】
級 | 試験科目 | 制限時間 | 合格基準 |
1級 | 商業簿記・会計学 | 1時間30分 |
70%以上 ただし、1科目ごとの得点は40%以上 |
工業簿記・原価計算 | 1時間30分 | ||
2級 | 商業簿記・工業簿記 | 2時間 | 70%以上 |
3級 | 商業簿記 | 2時間 | 70%以上 |
簿記1級は、税理士、公認会計士などの国家試験の登竜門であり、大学程度の商業簿記、工業簿記、原価計算ならびに会計学を修得し、財務諸表規則や企業会計に関する法規を理解し、経営管理や経営分析ができるようになるため、多岐にわたってかなりの勉強が必要になります。
②テキストが多いから
TAC出版のテキストを購入して一通り勉強しました。
購入した本は全部で9冊(テキスト・問題集8冊、過去問題集1冊)ありましたが、あまりにもテキストが多く、一通り終わるころには、はじめに勉強したことが覚えていられない状況でした。
③勉強時間が確保できないから
私が簿記1級合格までにかかる勉強時間は2400時間と想定しました。1日1~2時間独学で勉強するとなると、一体いつまでかかるのか途方もない気持ちになりましたし、過去問を1問解くのに何時間もかかってしまったので、主婦のスキマ時間では対応できない状況でした。
なぜ、簿記1級の勉強時間が2400時間かかると想定したかはこちらの記事で開設していますので、合わせてご覧ください。
>>簿記1級の勉強時間は社会人には無理!独学だと2400時間になった理由とは?
④税理士事務所に転職できたから
税理士受験者資格要件は実務経験2年以上です。
簿記1級の勉強中に税理士事務所に転職できたため、税理士試験のために簿記1級を受ける必要がなくなりました。
さらに税理士事務所の職務では簿記会計の知識だけでなく、税務の知識が必要なので、簿記1級よりも税法の勉強に集中せざるを得ませんでした。
⑤そもそも必要ないことに気付いたから
当時、就職活動中で、税理士事務所へ転職するまでに、簿記を忘れないようにしなければと簿記1級の勉強を始めたという流れがあります。
よくよく考えてみれば、3級、2級のおさらいをすれば済むのに、なぜか調子ついて「税理士になろう」と簿記1級へ進んでしまいました。
しかし、実際に試験勉強をしていてあまりのコスパの悪さに、簿記1級の勉強に見合う未来が見えないし、そもそも必要ないと気が付きました。
>>簿記1級はやめとけ!主婦が独学で勉強するメリットはない!!
まとめ|簿記1級だけでは就職できない?簿記1級は必要?その先を考えよ!
簿記1級は就職や転職に有利か?というと、有利ではありません。
簿記1級だけでは就職できない理由は、ハローワークの募集要件に「簿記1級」がほとんどないことと、「簿記1級」を持っていても「未経験者」であるなら、簿記3級や2級とそんなに違いはないからです。
しかし、ハローワークの募集要件に「税理士試験の2科目以上取得」というのはよく見かけますので、将来を見据えて、税理士をめざしている人を優先して採用することもあるのでしょう。
簿記1級で満足せずに税理士まで目指しましょう。
私が簿記1級の勉強をやめた理由は5つあります。
- 試験範囲が広いから
- テキストが多いから
- 勉強時間が確保できないから
- 税理士事務所に転職できたから
- そもそも必要ないことに気付いたから
簿記1級だけでは就職できません。
自分の将来を見据えて、簿記1級を取る必要があるかどうか、簿記1級を取った先に税理士試験を受けるかどうかまで考えてみましょう。
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