「簿記1級を受ける意味があるのか?」
税理士事務所に転職して間もない頃、上司の税理士から言われました。
この記事では、実際に簿記1級を勉強していたフルタイムで働く主婦が簿記1級をやめとけと言われたワケと、簿記1級のメリットから主婦に簿記1級は必要かどうかの考察をお伝えします。
主婦で簿記1級を勉強(しかも独学!)している方に今後の進み方を考えるきっかけになれば幸いです。
簿記1級はやめとけ!実際に勉強した主婦の誤算
数年前、転職のために簿記3級、2級と取得した私は、転職が決まるまでに簿記3級と2級の知識を劣化させてはならないと、さらに上の簿記1級を勉強し始めました。
簿記1級を勉強している途中で税理士事務所への転職が決まり、働きながら簿記1級を目指していたところ、上司である税理士から
「簿記1級を受ける意味があるのか?」
と言われました。
「え?私、面接のときに言いましたよね?簿記1級を取得して税理士を目指すと!」
とっさにそう返したのですが、上司である税理士からの言葉に、ふと簿記1級に固執している自分に気がつきました。
固執①簿記3級2級と同じ感覚で受かるはず!
簿記3級は一発合格!
簿記2級は2回目で合格!!
どちらも、本屋さんで教科書や問題集であるテキストを1〜3冊買ってきて家事や育児のスキマ時間に勉強して乗り越えてきました。
簿記1級も同じような感覚で独学勉強が可能だと思い込み、同じような勉強の仕方で合格するべきと固執していました。
固執②合格したら新聞に載るかもという期待
実は簿記1級は合格率1桁と難関のため、合格すると合格証書を手渡しでもらえます。その場面は取材が入ることも多く、新聞にも写真付きで掲載されることがあります。
同僚で簿記1級を持っている人からも新聞掲載されたと聞きました。
家事も育児も上手くできない私は、とにかく認められたいという気持ちが強く、簿記1級に合格して周りに認められたいと固執していました。
固執③税理士受験に必要と思い込み
税理士を受験するには、受験資格をクリアする必要があります。
簿記1級は受験資格の1つです。
実は、簿記1級を持っていなくても、税理士のもとで実務経験2年以上あれば受験資格をクリアします。
つまり、税理士事務所に転職した私は2年勤めれば、簿記1級を取らなくても税理士試験を受けることが可能なのです。
しかし、2年も待てない!すぐにでも簿記1級合格して税理士へとステップアップしたいと固執していました。
簿記1級を持っているとよい5つのメリット
そもそも簿記1級を持っているとどんな良いことがあるのでしょうか?
これから簿記1級を持っているとよい5つのメリットを紹介します。
①税理士試験の受験資格が得られる
税理士試験の受験資格は3つあります。
主な受験資格
(1) 学識による受験資格
イ 大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
ロ 大学3年次以上で、社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得した者
ハ 一定の専修学校の専門課程を修了した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
ニ 司法試験合格者
ホ 公認会計士試験の短答式試験に合格した者(2) 資格による受験資格
イ 日商簿記検定1級合格者
ロ 全経簿記検定上級合格者(3) 職歴による受験資格
イ 法人又は事業行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
ロ 銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した者
ハ 税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者国税庁「税理士試験受験資格の概要」
https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/shikaku/shikaku.htm
簿記1級は「資格による受験資格」にあたります。
②大企業の経理ができる知識が得られる
簿記1級は簿記3級や2級と違い、簿記理論の背景などの理解も求められます。
簿記会計の本質から深く学ぶことが必要になるため、大企業の経理ができる能力を身に付ける事ができます。
③投資先の経営分析ができる
簿記1級の知識があれば、上場企業の決算書や業績発表などから経営分析もできるようになります。
投資先の経営分析をして、今期の業績を把握したり、先行きを予測してみたりするのもよいですね。
④資格手当がもらえる
勤務先によりますが、資格手当がもらえる場合があります。
資格手当とは合格したときにもらえるパターンや取得しているだけで毎月もらえるパターンなどがあります。
主人の勤務先は資格合格のときだけもらえる資格手当ですが、私の勤務先は毎月もらえるので、数ヶ月経てば受験料などがペイできます。
⑤就職・転職のアピールポイントになる
簿記1級を持っていれば、税理士事務所への就職・転職のアピールポイントになります。
正しく言うと、簿記1級を持っているだけだと簿記2級と面接での扱いは変わりません。
簿記1級を持っていて、さらに税理士試験を目指している、または受けていることを伝えましょう。
勉強意欲があり、将来、税理士として活躍してくれると好感度が上がります。
簿記1級はやめとけって税理士に言われたワケ
上司である税理士から簿記1級はやめとけと言われたのは、第一に2年勤務すれば、税理士試験の受験資格があるから簿記1級まで取る必要はないからです。
私としては少しでも早く税理士になりたいと考え、簿記1級の早期合格を目指したのですが、もし、簿記1級に受かっても税理士試験を全科目受かるためには何年もかかるので、2年なんてすぐ経ってしまいます。
簿記1級を勉強するよりも、今のうちから税理士試験の試験勉強を始めた方がよいと考えるほうが、効率的かもしれません。
>>簿記1級の勉強時間は社会人には無理!独学だと2400時間になった理由とは?
主婦と簿記1級の勉強はどちらが大事?
簿記1級の勉強をしてみて気がついたのですが、簿記3級や2級の勉強のように家事や育児のスキマ時間を活用した勉強方法が全くできません。
簿記1級の1問は、ちょっとしたスキマ時間にできるほど簡単ではなく、問題の内容も複雑なため、家族が寝静まった後に集中して勉強するしかありませんでした。
そうなると限られた勉強時間になるため、思うように進みません。
ぶっちゃけ、簿記1級を持ってなくても税理士事務所に転職できたので、簿記1級に固執する必要がないと気がついたのです。
>>簿記1級だけでは就職できない?簿記1級の勉強をやめた5つの理由
まとめ|簿記1級はやめとけ!主婦に本当に必要か考えてみよう!
簿記1級はやめとけと言われたおかげで、簿記1級に固執していた自分に気がつくことができました。
簿記1級のメリットは魅力的なところではありますが、主婦は家事育児をしながらスキマ時間を使って勉強するしかありません。
簿記1級の問題はスキマ時間で解けるようなレベルではないので、簿記1級に固執することは、主婦にとって大きな代償をはらうことになるでしょう。
上司である税理士の言葉が、自分にとって簿記1級が必要かどうか考えるきっかけになりました。
これから簿記1級をめざしている人は、是非参考にしてください。
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