あなたは印紙のことをどのくらい知っていますか?
印紙は税金です。
私が社会に出たばかりのころ印紙が税金だなんて知りませんでした。
領収書にうっかり印紙を貼らずに渡してお客様からお叱りを受けたことがあります。
また、「あなたはどこかに領収書を提出するわけじゃないから印紙は貼らなくてもいいよね?」とあるお店でいわれたこともあります。
本記事では、印紙の基礎知識とこんな場合印紙を貼るのか貼らないのかというQ&Aを伝えます。
今回の話を知っていたら印紙を貼ってもらうようにちゃんと言えたかも。
領収書等の印紙税の基礎知識
金銭又は有価証券の受取書、領収書
[平成28年4月1日現在法令等]
金銭又は有価証券の受取書や領収書は印紙税額一覧表の第17号文書「金銭又は有価証券の受取書」に該当し印紙税が課税されます。
受取書とはその受領事実を証明するために作成しその支払者に交付する証拠証書をいいます。
したがって、「受取書」、「領収証」、「レシート」、「預り書」はもちろんのこと受取事実を証明するために請求書や納品書などに「代済」、「相済」とか「了」などと記入したものや、お買上票などでその作成の目的が金銭又は有価証券の受取事実を証明するものであるときは、金銭又は有価証券の受取書に該当します。
金銭又は有価証券の受取書は、受け取る金銭又は有価証券が売上代金に係るものかそれ以外のものかで税額が異なります。
税額は、売上代金に係る受取書と、売上代金以外の受取書の区分によって、次のとおりとなっています。
1 売上代金の受取書の場合
記載金額 | 税額 | |
5万円未満のもの | 非課税 | |
5万円以上 | 100万円以下のもの | 200円 |
100万円を超え | 200万円以下のもの | 400円 |
200万円を超え | 300万円以下のもの | 600円 |
300万円を超え | 500万円以下のもの | 1,000円 |
500万円を超え | 1,000万円以下のもの | 2,000円 |
2 売上代金以外の受取書の場合
記載金額 | 税額 |
5万円未満のもの | 非課税 |
5万円以上のもの | 200円 |
※国税庁HPより抜粋
領収書等における印紙を貼る?貼らない?クイズ
仮領収書
Q1.
いつもの営業マンが別件で来たのでついでにこの前の請求書の支払いをしようとしたとき、その営業マンは領収書も印紙も持っていなかった!
とりあえず、紙に詳細を書いて仮領収書をつくり、後日正式な領収書を郵送しますと言われました。
この仮領収書には印紙を貼る?貼らない?
A1.
仮だろうとなんだろうと仮領収書にも印紙を貼ります!
貼れないのなら出直しです・・・私も経験あります、涙。
仮領収書
【照会要旨】当社では、営業担当者が得意先から売掛金を集金した際に、その場で「仮領収書」を作成交付していますが、経理が入金処理した時に正式の領収書を得意先に郵送することにしています。この場合、「仮領収書」も課税の対象となるのでしょうか。
【回答要旨】
金銭又は有価証券の受取書とは、金銭又は有価証券の引渡しを受けた者がその受領事実を証明するために作成する単なる証拠証書をいい、この場合の判断基準は、文書の形式的な名称若しくは呼称又はその記載文言の形式的な意義によるものではなく、記載文言の実質的意義に基づいて判断することになります。
さらに、印紙税は、契約の成立とか金銭の受領等の事実そのものを課税対象とするものではなく、これらの事実を証明する目的で作成される文書を課税対象とするものです。
すなわち、一つの受領事実について数通の文書を作成交付すれば、それが受領事実を証明する目的で作成されたものであるかぎり、印紙税の取扱いはいずれも金銭又は有価証券の受取書に該当します。
ご質問の「仮領収証」は、後日会社(経理課)から正式の「領収証」が発行されれば無効となるものであっても、それまでの間は有効なものであり、また、受取事実を証明するために作成されたものにほかなりませんから、第17号の1文書(売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書)に該当し、所定の印紙をはる必要があります(基通別表第一第17号文書の3)。【関係法令通達】
印紙税法基本通達別表第一 第17号文書の3
※国税庁HPより抜粋
再発行した受領書
Q2.
領収書を失くしたんですが、再発行してもらえませんか?と営業マンにいったところ再発行された領収書に印紙が貼られていた。
失くした方の領収書にも印紙が貼られていたのに印紙って再発行の領収書にも貼る?貼らない?
A2.
再発行の領収書にも貼ります。
正直申し訳なくて再発行を依頼した自分が印紙代を払いたくなりますが、これは再発行した営業マンが貼ってくるものです。
再発行した受取書【照会要旨】
当社では、得意先に商品を販売し、代金を受領した際に受取書を交付していましたが、得意先からその受取書を紛失してしまい、再発行して欲しい旨の要請がありましたので、再発行である旨を記載した受取書を発行することにしました。
この再発行する受取書は、前に適正に収入印紙を貼付した受取書を交付しておりますので、課税文書に該当しないと考えてよろしいでしょうか。【回答要旨】
金銭又は有価証券の受取書とは、金銭又は有価証券の引渡しを受けた者がその受領事実を証明するために作成し、その引渡者に交付する単なる証拠証書をいいます。そのため、金銭の受領が1回であっても、その受領事実を証明する目的で作成したものであれば、第17号文書(金銭又は有価証券の受取書)に該当することになります。したがって、ご質問の再発行した受取書についても第17号文書に該当することになります。
なお、納税義務者は、再発行を要請した得意先ではなく、受取書の作成者となります。【関係法令通達】
印紙税法基本通達第19条、別表第一 第17文書の1
※国税庁HPより抜粋
クレジット販売の場合の領収書
Q3.
クレジットカードで支払った領収書に印紙が貼っていなかったんですが、大丈夫?
クレジット販売の領収書には印紙を貼る?貼らない?
A3.
印紙は貼りません。
クレジット販売は信用取引により商品を引き渡すものであり、その際の領収書であっても金銭又は有価証券の受領事実がありませんから印紙を貼らなくていいんです。
ただし、その領収書にクレジット決済である旨を記載してあることが必要です。
クレジット販売の場合の領収書【照会要旨】
当社では、クレジットカードで買物をしたお客様に、クレジット利用伝票(お客様控)のほか、お客様の要望により、領収書を作成交付しています。この領収書には、印紙を貼付する必要があるのでしょうか。
【回答要旨】
第17号の1文書(売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書)は、金銭又は有価証券の受領事実を証明する目的で作成されるものです。ご質問のように、クレジット販売の場合には、信用取引により商品を引き渡すものであり、その際の領収書であっても金銭又は有価証券の受領事実がありませんから、表題が「領収書」となっていても、第17号の1文書には該当しません。
したがって、この領収書には印紙を貼付する必要はありません。
なお、クレジットカード利用の場合であっても、その旨を「領収書」に記載しないと、第17号の1文書に該当することになります。
【関係法令通達】
印紙税法基本通達別表第一 第17号文書の1
注記
平成28年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
まとめ
受取金額が5万円以上の領収書には記載金額に応じた印紙を貼る必要があります。
印紙を貼る必要があるかどうか迷ったり、貼らなくてもいいと誤解しているケースもあります。
あなたが買い物をして領収書をもらったとき、ちょっと興味を持ってみてくださいね。
コメント